コロナウイルス(COVID-19)の除菌・予防方法は? 論文をもとに博士号取得者がコロナについて解説します

終息すると言いながら、流行ってからもうかなり経つコロナウイルスですが、皆さんの生活は大きく変化しましたか。
マスクや除菌でこれまでは必要無かった出費や手間がかかって大変ですよね。
また、一番気になるのはコロナの除菌方法ではないでしょうか。
何をすればコロナは死んで、何をしても生きているのか良くわかってない人も多いと思います。
そこで、この記事では海外で発表された論文を元に、コロナの適切な除菌方法などを生物分野の博士号を取得している筆者が解説します。

参考にした主要論文:Protection and disinfection policies
against SARS-CoV-2 (COVID-19)
Le Infezioni in Medicina, n. 2, 185-191, 2020

流行しているコロナウイルスについて

2020年の3月にWHO が世界的パンデミックとして発表した俗にいうコロナウイルスですが、良く知ってるつもりで意外にもちゃんと理解していない人がほとんどです。
まず、正式にはSARS-CoV-2 (COVID-19)と表記します。※以下COVID-19と表記します
表記のとおりですが、実は2002~2003年に流行したSARSに遺伝学的に非常に近いコロナウイルスの一種なのです。
前回のSARSも今回のCOVID-19も呼吸器に深刻なダメージを与えるという共通点があります。
テレビなどでコロナウイルスと報道していますが、コロナウイルスにはたくさん種類があります。
便宜上、分かりやすいようにコロナウイルスと言っているだけですので、その点も理解しておくべきでしょう。

コロナウイルスはどうやって感染するか

報道で良く「三密」を避けるようにと忠告していますが、この論文でも人どうしが接近することを避けるようにと記載されています。
感染理由はくしゃみや咳、会話することによる細かい唾液が鼻や目、口に付着することが危険だと報告しています。
また、COVID-19の厄介な点は、「空気感染」することです。
高湿度、高温でCOVID-19の生存率が上がることもわかってきました
通常のウイルスは低湿度、低温で猛威をふるいます。
インフルエンザウイルスがその典型です。
しかし、COVID-19は高温で生存率が上がる点が通常のウイルスと違います。
これは私個人の見解ですが、南米で感染者が多かったり、日本でも第2波が来ているのはウイルスが得意とする温度の違いが影響していると思います。

New England Jornal of Medicineに最近発表された論文では、COVID-19は空気中に3時間ほどは浮遊したままであることを確認したそうです。
特に感染者の扱いには注意が必要で、感染者が入院している病院では空気の流れをコントロールすることが重要なのだそう。
感染者が居る部屋の空気圧を下げることで、部屋の中の空気が外に出ていかない環境作り出し、隔離すると感染拡大を防止できます。

コロナウイルスは物に付着してどれくらい生きているか

先ほど空気中に漂う場合のCOVID-19の生存時間については記載しましたが、空気ではなく何か物に付着していた場合はどれくらい生き続けるでしょうか。
付着する物の素材に寄って生存時間は変わります。
たとえば、ドアノブなどに使われているスチールだと2~3日間ほど生存しています。
次に服に付着した場合ですが、こちらも2日間です。
身の回りにあるもので、最短しか生存できないのはラテックス製のゴムで8時間、反対に最長は紙で24日間にもおよびます。
24日間も生きているのは驚きですよね。
参考にした論文に載っている、身の回りの素材別のCOVID-19の生存時間がわかる図を貼っておきますので、是非一度みてください。

コロナウイルスはどうすれば除菌、感染予防できるのか

ここまでに感染経路とCOVID-19の生存場所、生存時間を確認しました。
しかし、一番重要なのは除菌方法です。
下に貼った参考論文の表を見てみると、使用薬品別の除菌に必要な時間が示されています。
表の上段2つにあるようにエタノールを用いた除菌では、濃度の違いはありますが両方とも30秒で除菌(感染力の不活化)できるので、COVID-19そのものが非常に強い訳ではないようです。
また、手洗いも非常に有効で20秒間手を石鹸で洗うことで、COVID-19の感染力はほぼ無効化できると紹介しています。

次に感染予防方法ですが、一般的に手軽にできるマスクの有効性が気になりますよね。
参考にした論文には、普通のサージカルマスクでも80%のCOVID-19を防ぐことができるとしています。
ただし、0.3 マイクロメートルの浮遊物を防げるマスクを想定しているので、自分が持っているマスクを確認してみてください。
大まかなイメージですが、PM2.5や花粉はおよそ数マイクロメートルなので、COVID-19の数十倍の大きさがあります。
それだけCOVID-19は小さいということなんです。

表の左から項目はウイルス名、殺菌薬剤、ウイルス感染の不活化、曝露時間

コロナウイルスはいつ終息するか

残念ながら、参考にした論文には終息の時期やめどについては何も書かれていませんでした。
実は、ウイルスに関してお話しするとこれまでにも数えられないくらいの種類が報告されています。
COVID-19はその中でたまたま人間に対して非常に感染力が強く、また症状も軽いものから重い場合もあったために私たちの生活に大きな影響を与えています。
また、COVID-19の生存できる環境範囲(温度や湿度、対象とする人種など)が広かったために世界中に拡大してパンデミックを引き起こしました。
アフリカで流行することがあるエボラ出血熱は、感染力はそこまで強くなく致死率が高いことから世界中で流行ることは考えにくいとされています。
このように条件が揃ってしまったウイルスが誕生すると人間の脅威となります。
また、ウイルスは毎日凄い速さで進化を続けており、今後COVID-19のようなウイルスやそれ以上に怖いものが誕生する可能性も十分に考えられます。
ですので、COVID-19が終息してもまた新たなウイルスに対応しなければいけませんし、COVID-19そのものが変異(性質が変化すること)する可能性もあります。
これからはウイルスと共存するといった意識も必要になるかもしれません。
最後になぜそんなにウイルスは変異や進化が早いかですが、2点が要因として考えられます。

1. 増殖速度が速い(1世代の時間が短い)

まず、変異や進化が起こるのは単なる確率論になります。
人間でも、病気や遺伝的特徴がある人は少ないですが一定数います。
ウイルスは他の生物と比べて、増殖速度が速いので短時間に何世代もまたぐことになるため確率的に変異や進化が起きやすいことになります。

2. 数が多い

増殖速度が速いことによって、ウイルス自体の数が圧倒的に多くなります。
先ほど変異や進化は確率論であるとお伝えしましたが、他に環境の違いなどによる外的要因も影響します。
ウイルスのように人間を宿主(ウイルスが増殖できる生物の対象)とすれば、COVID-19のように世界中に拡がることができます。
そうすると様々な環境下にさらされるため、また変異や進化が起きる確率があがります。
これはウイルスが生きていくために得た、生存手段であると考えられています。
ウイルスと戦うためには、敵をよく知ることが一番大切なので、普段から情報収集してしっかり対策しましょう。

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